見守り・財産管理委任契約と任意後見契約の連携(+公正証書遺言)
― 「今」と「将来」と「その後」をつなぐ。安心な老後の“仕組みづくり” ―
1.なぜ「連携(組み立て)」が重要なのか
POINT
高齢期の支援は、1つの契約だけではカバーしきれないことがあります。状態に応じて「段階的に備える」設計が安心につながります。
説明
老後の不安は、「今すぐ困ること」だけではありません。
例えば、
- 体調の変化や孤立の不安(見守り)
- 支払い・契約など日常の手続(財産管理)
- 判断能力が低下した後の支援(任意後見)
- 亡くなった後の承継(遺言)
と、段階ごとに必要な支援が変わります。
そのため、見守り・財産管理委任・任意後見をつなぎ、最終的に公正証書遺言まで含めて設計することで、安心の範囲を広げることができます。
2.全体像|「3点セット+1(遺言)」
まとめ
次のように段階的に備えるのが、非常に合理的です。
- ① 見守り契約:生活状況の確認、異変の早期発見
- ② 財産管理委任契約:支払い・銀行手続など「今できる委任」
- ③ 任意後見契約:判断能力が低下した後の支援に備える
- + 公正証書遺言:亡くなった後の承継を明確にする
それぞれの役割が違うため、組み立てることでカバー範囲が広がります。
3.見守り契約の役割(今の安心)
POINT
見守りは「生活の変化に早く気づく」ための仕組みです。
説明
定期的な連絡・面談等を通じて、生活状況の変化を把握します。
必要があれば、医療・介護・家族連絡、または次の支援(財産管理委任・任意後見)への移行を検討するきっかけになります。
4.財産管理委任契約の役割(今できる支援)
POINT
財産管理委任は、判断能力があるうちに「頼める範囲」を契約で明確にします。
説明
例えば、次のような内容を、委任者の意思に基づき委任できます(範囲は契約で定めます)。
- 公共料金・家賃・施設費・医療費などの支払い
- 銀行手続(入出金、口座管理等)
- 各種契約の更新・解約に関する手続
「どこまで任せるか」を明確にしておくことが、家族間トラブルや疑念の予防にもつながります。
5.任意後見契約の役割(将来の支援)
POINT
任意後見は、判断能力が低下した後の支援を「自分で選ぶ」制度です。
説明
任意後見契約は、判断能力があるうちに契約を結び、将来、判断能力が低下したときに効力が発生します。
誰に支援してもらうか、どの範囲で支援するかを、本人の意思で決められる点が大きな特徴です。
注意
任意後見は、契約を結んだだけで直ちに始まる制度ではありません。
「今の支援(見守り・財産管理)」と「将来の支援(任意後見)」を分けて設計し、必要なときに移行できる形に整えることが重要です。
6.なぜ最後に「公正証書遺言」をプラスするのか
POINT
老後の備えは「生前」だけでは完結しません。亡くなった後の承継(相続)まで設計することで、家族の負担を大きく減らせます。
説明
見守り・財産管理・任意後見で老後の支援体制が整っても、亡くなった後に相続がまとまらなければ、家族は再び大きな負担を抱えます。
公正証書遺言を作成しておくことで、
- 誰に何を残すかが明確になり、相続手続が進めやすくなる
- 相続人間の行き違いや争いを予防しやすくなる
- 「老後の安心」から「最終局面の安心」まで一体で整えられる
というメリットがあります。
7.作成までの流れ
POINT:「連携設計(3点セット+遺言)」の進め方
ご本人の意思を大切にしながら、段階的に備える設計を行います。
-
ヒアリング
生活状況・家族関係・財産の概要・ご希望を整理します。 -
段階設計
見守り/財産管理委任/任意後見を、必要な範囲で組み立てます。 -
条項整理
委任範囲、連絡体制、緊急時対応、費用などを具体化します。 -
遺言の検討
相続方針やご意向を整理し、公正証書遺言の案を作成します。 -
公証人との調整・公正証書作成
必要書類、内容確認、日程調整を行い、公正証書として作成します。
8.行政書士に依頼するメリット
POINT:行政書士に依頼する三つのメリット
-
契約を「つながる形」で設計できます
見守り→財産管理→任意後見→遺言へ、段階的に安心がつながる設計にします。 -
条項を具体化し、トラブルを予防できます
「どこまで任せるか」「いつ移行するか」など、曖昧さを減らします。 -
公証人調整まで含めてスムーズに進められます
公正証書の作成に必要な資料整理や、内容調整を支援します。
当事務所では、ご本人の意思を尊重しながら、「今の安心」から「将来の備え」、そして「その後の承継」まで、一本の流れとして整えることを大切にしています。
まずは現状の整理から、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
- Q見守り・財産管理委任・任意後見は全部必要ですか?
- A
必ずしも全てが必要とは限りません。
ご本人の状態・家族構成・財産状況・目的によって、必要な組み合わせは変わります。
- Q財産管理委任があれば任意後見はいりませんか?
- A
財産管理委任は、判断能力があるうちに行う支援です。
判断能力が低下した後に備えるには、任意後見の検討が重要になります。
- Qなぜ遺言まで作る必要があるのですか?
- A
老後の支援体制が整っていても、亡くなった後の相続がまとまらなければ、ご家族の負担が大きくなります。
遺言をプラスすることで、最終局面まで含めた安心につながります。
費用について
連携設計(3点セット+遺言)の費用
費用は、契約の組み合わせ(見守り/財産管理委任/任意後見/遺言)や支援範囲によって変わります。
詳細は「費用」のページをご覧ください。
ご不明な点があれば、お気軽にお問合せください。
専門的視点
本人の意思を「連続した仕組み」に変える
本当に大切なのは、「その時々で困ったから契約する」のではなく、本人の意思を軸に、支援が途切れないように組み立てることです。
見守りで変化を早期に捉え、財産管理委任で日常の実務を支え、任意後見で将来に備え、最後に遺言で承継を確定させる。
この流れを整えることが、委任者の安心な老後をカバーする上で重要です。当事務所では、生活実務と相続実務の両面から、無理のない設計を行っています。
